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院長通信

2024年4月

鼻の病気

 耳鼻咽喉科は文字通り耳、鼻、のどの病気を取り扱う診療科ですが、患者様の半数以上は鼻の症状で受診されます。そこで今回は鼻の病気について院長の私見も含め述べさせていただきます。鼻の症状で代表的なものは鼻漏(鼻みず、鼻汁)、鼻閉(鼻詰まり)ですが他に鼻出血、嗅覚障害などもしばしば見受けられます。

 鼻漏には透明でさらさらした水様性鼻漏と呼ばれるものと、黄色や緑色の色のついた膿性鼻漏と呼ばれるものがあります。前者はアレルギー性鼻炎や血管運動性鼻炎で見られ、後者は副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)で見られます。

 アレルギー性鼻炎は体質的な病気で完治させることは困難ですが、最近行われるようになった舌下免疫療法によって症状の軽減が図れるようになってきました。しかし主体は抗アレルギー剤による対症療法となります。アレルギーの原因となるアレルゲンを知り、原因に対する適切な対策を立てることが必要です。

 血管運動性鼻炎はアレルギー性鼻炎と同じような症状を呈しながらアレルゲンが見つからない鼻炎で、温度や湿度の急変により症状が出現するのが特徴です。多くの患者様は薬物療法で症状のコントロールが可能ですのでこのような症状でお悩みの方はご相談ください。

 副鼻腔炎では鼻がのどに流れる状態(後鼻漏と呼びます)が出現します。この後鼻漏は咳の原因になる事がしばしばで、咳を主訴に受診された患者様の咳の原因が実は副鼻腔炎であったという例も少なくありません。この副鼻腔炎に対し有効な治療法の一つに鼻洗浄があります。鼻洗浄の有効性は欧米でも証明されており、副鼻腔炎の治療としては抗生剤服用と同等の効果があるとされています。しかし鼻洗浄のみで副鼻腔炎を治すことはできません。症状に応じた薬物治療やネブライザー治療等を鼻洗浄と併用する事が必要です。副鼻腔炎は治りにくい病気の一つですが、治らない病気ではありません。鼻洗浄を含む治療を根気よく続けていただきたいと思います。

 鼻出血はたまに生ずるものは心配ありませんが、繰り返す場合は原因を調べる必要があります。特に年配者の場合、鼻腔内の悪性病変を否定する必要があります。 嗅覚障害は様々な原因で生じますが、発症直後であればかなりの確率で治癒させることができます。しかし発症後3か月以上経過すると治癒することが非常に困難になります。においがおかしい、においがしないと感じたらすぐに受診し治療を開始してください。