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院長通信

2025年5月

突発性難聴

 皆さんは突発性難聴という病名を聞かれた事があるでしょうか。これはある日突然に聴こえが悪くなる病気です。原因は不明ですが、内耳に何らかの障害が生じ聴力が障害される病気です。突発性難聴は早期に治療を行わなければ回復が難しく、発症後2週間以上経過すればまず回復する見込みのない病気です。したがってこの病気から回復する最大のポイントは発症後できるだけ早期に治療を開始することです。

 これは水に溺れて呼吸停止をきたした人に人工呼吸を行う場合や、心停止をきたした人に除細動を行う場合に発症から処置までの時間が救命率に大きく影響するのと同じです。

 重症の突発性難聴では聴こえが明らかに悪化するので気づきやすいのですが、軽症の場合は「耳がふさがったような感じ」、「聴こえ方がすこしおかしい」、「耳鳴りがする」といった症状のみの場合が多く、症状が軽いため「そのうち治るであろう」と考えて放置される方がしばしば認められます。そしてこのような症状が持続するため発症からかなりの日にちが経ってから受診され、聴力検査で初めて突発性難聴と診断されてもすでに発症後に時間が経過しすぎて治療が行えないという方が少なからずおられます。

 当院では突発性難聴と診断がつき、発症から1週以内と判断された場合、症状に応じてステロイド剤、ビタミン剤、循環改善剤等の点滴、投薬で治療を行っています。

 治療は約10日間毎日行いますが、数日治療を行っても効果が認められない場合や、高度の難聴で当院での治療で回復する可能性が低いと判断された場合は入院設備のある病院へ集中的な治療を依頼する場合もあります。
「耳が塞がった感じがする」、「耳鳴がする」、「音が響いて聞こえる」等の症状があった場合は「そのうちに治るのではないか」と放置せず早急に耳鼻咽喉科医を受診される事をお勧めします。