兵庫県西宮市甲子園口 耳鼻咽喉科 レーザー手術 甲状腺腫瘍 花粉症 アレルギー

院長通信

2010年5月

アレルギー性鼻炎とレーザー手術

最近皆様が良く耳にされるアレルギー性鼻炎に対するレーザー手術ですが、最初にレーザーメスで鼻粘膜を焼灼することによって アレルギー性鼻炎の症状を改善することが出来ないかと考えたのは関西医科大学の熊沢忠躬元教授で、昭和56年のことでした。
熊沢元教授の指導の下関西医科大学付属滝井病院の須藤直廣医師が基礎的研究を開始し、昭和57年より福武がこの研究を引き継ぎました。
そして昭和61年までの約4年をかけて種々の治療パターンを試み、週に一度の間隔で5回鼻粘膜を焼灼する治療パターンが最も副作用が 少なく治療効果が高いことを突き止め「アレルギー性鼻炎に対するレーザー手術」として医学雑誌に発表いたしました。
この新たな治療法は世界的にも評価され、昭和62年には米国のアーカイブスという耳鼻咽喉科専門雑誌の年報に掲載され、平成6年と平成7年には ドイツのレーザー学会より招請され講演を行いました。

このように私たちが開発したアレルギー性鼻炎に対するレーザー手術は多くの国で有効性が認められ治療に用いられるようになりました。
約20年前には高価で大病院にしか導入されていなかったレーザーメスですが、価格が低下するに伴って機器が広く普及し、 一般の開業医レベルでもレーザー手術が行われるようになりました。 しかし治療法については様々な解釈、変更がなされているようです。 適切な治療を受けられず治療効果に満足されなかった患者様からアレルギー性鼻炎に対するレーザー手術について否定的な声を聞かされる事も しばしあり、この治療法の開発者としては忸怩たる思いがあります。

最も目に付くのは一回だけのレーザー手術で治療を終えてしまうケースです。
何故5回も繰り返して治療するかと言えば、回数を多くすることにより、副作用(レーザー手術は鼻粘膜にやけどを作る治療です)が少なくなり、 治療効果をより長持ちさせることが出来るからなのです。
綺麗な日焼けを得るのに1日だけ日光浴をするのと5日間に分けて日光浴をするのとどちらが有効か考えていただければ理解しやすいと思います。
手術料は1回のみの治療でも5回繰り返しての治療でも同じです(2回目以降の再診料は患者様のご負担となりますが)のでこの辺りがオリジナルの 治療法が普及しなかった理由ではないかと考えてしまいます。
もちろんレーザー手術は魔法の治療法ではなく、5回の治療を受けられた患者様へのアンケート調査でも約20%の患者様は満足できる結果が 得られなかったと答えておられます。 しかし私たちが開発したオリジナルの治療法で治療した場合、約70%の患者さんは3年以上にわたって良好な治療効果を維持しておられます。

当院では出来る限り週一度で5回鼻粘膜を焼灼するオリジナルの治療法を行います(患者様の都合がつかない場合は修正も可能です)。
当院でレーザー手術を希望される患者様は上記の説明をご理解の上、時間に余裕を持って治療をお受けいただきたいと存じます。