兵庫県西宮市甲子園口 耳鼻咽喉科 レーザー手術 甲状腺腫瘍 花粉症 アレルギー

院長通信

2011年11月

病気とテレビ

 昨今病気を話題にしたテレビ番組が多く見られるようになりました。
多くの方々に病気を意識していただくためにテレビを利用する事は非常に有効で、私も今から約30年前にテレビの威力を目の当たりにした事があります。
当時私は大阪府守口市の関西医大病院でアレルギー性鼻炎に対するレーザー手術を開発していたのですが、朝日放送の昼のワイドショー番組に教授が出演し数分間レーザー手術の事を説明したのです。放送直後より病院の電話は多数の着信でマヒ状態になり、2日間で2年先までの治療枠が埋まってしまいました。当時より週に一度で5回の治療を行う方法を取っておりましたが、鹿児島や東京から毎週通院された方もありました(当時は関西医大以外にレーザー手術を行っている施設はありませんでした)。

 このように強い影響力を持つテレビですが、私の目から見ると病気を取り上げるテレビ番組には大きく分けて二つのタイプがあるように思われます。
 一つはテーマとされた病気の治療を専門とする医師が病気についてその原因、症状、対処法等をわかりやすく解説するいわゆる教養番組タイプの番組です。
 もう一つは視聴率を稼ぐために病気をセンセーショナルに取り扱うタイプの番組です。この手の番組にはたいてい芸能人が多数出演しており、視聴者の興味を引くために病気のある部分のみが強調されたり、まれにしか起こらない症状が主要な症状の様に紹介されたりする事があるように見受けられます。こういった番組では一般に行われていない治療法を、あたかも第一選択の治療法の様に紹介することさえあり、患者様からの問い合わせに難渋する場合もあります。病気に対して関心を持っていただくという点では効用を認めますが、放送内容を鵜呑みにせず医師の診察を受けていただきたいと思います。

 病気を良く知ることは病気を治すことに大きく役立ちます。病気に対してわからない点、治療に関する疑問などがあればどんどん尋ねて下さい。もちろん現在の医学では解明できていない部分も多く、「なぜ風邪をひくのか」と尋ねられても明確なお答えをすることはできませんが、現在判明している事実については出来るだけ説明させていただきたいと存じます。