兵庫県西宮市甲子園口 耳鼻咽喉科 レーザー手術 甲状腺腫瘍 花粉症 アレルギー

院長通信

2012年4月

アレルギー性鼻炎に対するレーザー手術

 平成24年4月の保険点数改定で、今まで下甲介粘膜焼灼術の中に含まれていたアレルギー性鼻炎に対するレーザー手術に対し「下甲介粘膜レーザー焼灼術」という独立した手術点数が与えられました。30年前にアレルギー性鼻炎に対するレーザー手術を世界に先駆けて開発した私どもにとってはこの上もない喜びです。

 平成22年5月の院長通信でも述べさせていただきましたが、私たちは昭和57年より炭酸ガスレーザーメスを用いアレルギー性鼻炎の患者様の治療を始めました。私どもがレーザー治療を始めた当初は1回だけのレーザー照射で治療を行っていました。しかし十分な治療効果が得られない症例や早期に症状が再発する症例がしばしば認められ、これらの問題点を克服しより良好な治療効果を得るための手術方法を発見するために約4年をかけて種々の治療パターンでレーザー手術を行いました。その結果「週に一度の間隔で5回に分けて鼻粘膜を焼灼する治療パターン」が最も副作用が少なく治療効果が高いとの結論に達し「アレルギー性鼻炎に対するレーザー手術」として昭和61年に医学雑誌に発表いたしました。

 私たちが開発したアレルギー性鼻炎に対するレーザー手術はその有効性が広く認められ、現在では多くの医療施設でレーザー手術が行われるようになり、先に述べましたように一つの独立した治療方法として国に認められるまでになりました。しかし治療方法については様々な解釈、変更がなされているようで、しばしば見られるのは一回だけのレーザー照射で治療を終えてしまうケースです。何故5回も繰り返して治療するかと言えば、回数を多くすることにより、副作用(レーザー手術は鼻粘膜にやけどを作る治療です)が少なくなり、治療効果をより長持ちさせることが出来るからなのです。ペンキを塗るのに1回だけ塗るのと5回重ねて塗るのとどちらが長持ちするかを考えていただければ理解しやすいと思います。週に1度の間隔で治療を行う理由は、一旦焼灼された鼻粘膜のカサブタが取れるのに約1週間かかり、焼灼2週後には粘膜上皮の再生が始まるため、焼灼の1週後から2週後までの間に次回の焼灼を行うのが望ましいためです。

 当院では週一度で5回鼻粘膜を焼灼するオリジナルの治療法を行っております(患者様の都合がつかない場合は修正も可能です)。
5回の分割照射でも手術料は初回時のみのお支払いで、2回目以後は再診療と処置料のみとなります(3割負担の場合5回で1万円強となります)。
もちろんレーザー手術は魔法の治療法ではなく、5回の治療を受けられた患者様へのアンケート調査でも約20%の患者様は満足できる結果が得られなかったと答えておられます。しかし約70%の患者さんは3年以上にわたって良好な治療効果を維持しておられます。当院でレーザー手術を希望される患者様は上記の説明をご理解の上、時間に余裕を持って治療をお受けいただきたいと存じます。