兵庫県西宮市甲子園口 耳鼻咽喉科 レーザー手術 甲状腺腫瘍 花粉症 アレルギー

院長通信

2013年5月

子供の適応力。

 私が父から診療を引き継いで当院を再開してから3年がたちました。私は長年地域の基幹病院で勤務医をしておりましたせいか、診察させていただく患者様の多くは中高年と言われる年齢層に属しておりました。もちろん子供さんも来院されましたが、手術的治療を行うとか、診断をつけて近所の開業医の先生方に治療を依頼するとかがほとんどで、子供さんを継続的に診察させていただく事はあまり経験しませんでした。今回開業医となったことで立場が逆になり、多くの子供さんを継続的に診察させていただく事となりました。そしてこの事が私に多くの事を教えてくれました。

 3年前の私は小さな子供は押さえつけて診察するものと思っておりました。 しかし、この3年間の経験で小さな子供達でも体の不調を感じた時は強制されなくても自分から積極的に治療に協力してくれるという事を学びました。
2歳以下の幼児が自分で診察椅子によじ登り、進んで治療を受けてくれる姿は感動的ですらあります。もちろんみんなが最初から自発的に治療を受けてくれるわけではありません。最初は親御さんに抱かれながらいやいや治療を受けていた子供達が、治療を重ねていくうちにそれによって自分の体調が良くなるという事を学び、自分から治療を受けるようになるのです。子供の適応力の素晴らしさ、成長過程を目の当たりにすると診察させていただく喜びを感じます。

 この素晴らしい適応力ですが、これを生かすも殺すも周囲の対応次第なのです。幼稚園や保育所に検診に参りますと「あお洟」を垂らした子供さんや重症の滲出性中耳炎の子供さんをしばしば見つけます。周囲が放っておくとこの子供達は今の状態が普通と思いこんでしまいます。適切な治療を行い鼻の通った状態、耳の聴こえる状態を子供達に体験させると子供達は自分で体の不調を訴え、病院に連れていくようせがむ様になります。このような習慣づけは耳鼻咽喉科の病気のみならず他科の病気の早期発見早期治療にも役立つと思います。

 子供達の健康状態に常に注意を払い、異常が感じられた場合早急に適切な対応を取る事で子供達の適応力を磨いていく事が出来るのです。そして磨かれた適応力は将来種々の場面で子供達の役に立つものと信じます。