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院長通信

2013年9月

反復性中耳炎

　子供の発熱の原因になる病気の一つに急性中耳炎があります。急性中耳炎は中耳腔と呼ばれる鼓膜の内側のスペースに細菌感染による炎症が起こり、その結果膿が中耳腔に溜まる病気で、殆どの場合強い痛みを伴います。急性中耳炎は鼻の奥と中耳腔を繋ぐ耳管という管（くだ）を通って鼻やのどから細菌が中耳腔にはいりこみ炎症を起こす病気です。急性中耳炎をおこした子供達はたいてい蒼鼻を垂らしています。この急性中耳炎を頻回に繰り返すのが反復性中耳炎です。なぜ急性中耳炎を繰り返すのかはっきりした事は判っていませんが、２歳以下の子供、耐性菌（抗生剤の効きにくい細菌）が感染した場合、子供の免疫能（病気にかかりにくくする力）の低下などが誘因になると考えられています。また反復性中耳炎をおこす子供さんは急性中耳炎を起こしていない時期に滲出性中耳炎が存在するケースがしばしば見られます。

　急性中耳炎の原因となる細菌には肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス等があります。肺炎球菌、インフルエンザ菌についてはワクチンがありますが反復性中耳炎に対する確実な予防効果は証明されてはおりません。しかし有効であるとの報告も散見されますので、重症化を防ぐためにも予防接種を受けられる事をお勧めしています。

　日本では他国に比べ抗生剤が安易に投与される傾向があると言われております。抗生剤の多用は耐性菌の出現を生み、結果的には反復性中耳炎を増加させることにつながりますが、中途半端な服用で急性中耳炎を完全に治しきれずに放置知る事も反復性中耳炎を生みだすことになります。当院でも抗生剤は必要最小限の投与に留めるべく努力をしておりますが、お母様方には投与された薬はきっちりと服用させ、急性中耳炎が完治するませ通院させていただく様お願いいたします。

　反復性中耳炎という病気は患者様やご家族にとってストレスのたまる病気です。しかし根気よく治療を続ければ成長するに従って治ってゆきます。それまでは気長に症状に応じた治療を行っていただきたいと思います。

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