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院長通信

2013年11月

頸部腫瘤

 今月は頸部腫瘤(けいぶしゅりゅう)についてお話させていただきます。
頸部腫瘤とは首にできた「できもの」や「しこり」の事です。この頸部腫瘤は生命にかかわる悪性腫瘍などの病気の一症状として現れる事もしばしばで、首に「できもの」や「しこり」が生じた時には徹底的にその原因を調べる必要があります。

 頸部腫瘤の発生源としては甲状腺、唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)、リンパ節、などの組織があげられ、原因疾患としては炎症、腫瘍、先天性異常などがあげられます。

 一般に報告されている頸部腫瘤の頻度は多く見られる順に@単純性リンパ節炎 A甲状腺腫瘍 B唾液腺炎 C悪性腫瘍のリンパ節転移 D悪性リンパ腫 E先天性頸嚢胞 F結核性リンパ節炎 などとなっております。

 頸部腫瘤で最も良く見られるのはリンパ節の腫脹です。この大多数は上気道炎にともなう単純性リンパ節炎ですが、悪性腫瘍のリンパ節転移や悪性リンパ腫(白血病の一種です)による腫脹も稀に認められます。 また炎症性リンパ節炎の中にも川崎病に伴うリンパ節炎や結核性リンパ節炎など早期に気づいて治療を行わなければならない病気が含まれています。 単に炎症性のリンパ節腫脹と見くびって放置していると手痛いしっぺ返しを食らう事になります。

 次いで多く見られる甲状腺腫瘍は女性に多く見られ、首の正面付近に痛みを伴わない腫瘤として気付かれる事が多い病気です。 大部分は良性腫瘍ですが、しばしば悪性腫瘍も認められますので首の正面の腫瘤に気づかれた場合は超音波検査等で精査を行う事が必要です。

 また流行性耳下腺炎(いわゆるおたふくかぜ)、化膿性耳下腺炎、唾石に伴う唾液腺炎なども頸部腫瘤の形を取りますが唾液腺にもしばしば良性腫瘍が生じますので油断は禁物です。

 このように大多数の頸部腫瘤は一過性の良性疾患ですが、発見の遅れが命にかかわる悪性病変の一症状として現れる事も少なくありません。 首の「できもの」や「しこり」に気づかれた時には早急に御相談下さい。