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院長通信

2014年4月

抗菌剤の飲み方

 医師が患者様の病気に対して行える医療行為としては患部に対する直接の外科的治療(外来で行う耳、鼻、のどに対する局所治療や手術)と薬を使用した内科的治療があります。
今回はこの治療の二本柱の一本である薬(内科的治療)についてのお話です。

 私が患者様にお渡しする薬には様々な種類がありますが、今回は炎症性疾患に投与される抗菌剤(抗生剤を含む)ついて私がどのような考え方でお薬をお渡ししているかを述べさせていただきます。

 抗菌剤については患者様の中にも色々な意見をお持ちの方がおられるのは承知しております。
本来このような話はお薬をお渡しする際に一人一人の患者様に説明させていただかなくてはならないものなのですが、忙しい日常診療の中ではなかなか十分な説明を行う事が出来ません。
この説明文が処方された薬を服用される際の参考になれば有難いと思いますが、薬に対する疑問点があれば診察の際に遠慮なくご質問いただきたいと思います。

 しばしば患者様から「症状が改善したので薬を飲むのを止めました。」とか「以前もらって残っていた薬を飲みました。」という事をお聞きしますがこれは私にとってがっかりする言葉です。
なぜなら私が薬をお渡しする時は、お渡ししたお薬を全て服用していただける事を前提に投与期間を決めているからです(長期投与のお薬の場合に例外はありますが、その時は必ず「症状が改善したら服用を中止しても良いです」と説明させていただいております)。
特に急性炎症に対する抗菌剤は、私が「もう飲む必要が無いからお薬を止めましょう」と申し上げるまで服用していただきたいのです。中途半端な服用は耐性菌(抗菌剤に対し抵抗力を獲得し薬が効かなくなってしまう菌)を作ることになり結果的に自分の首を絞めることになってしまいます。
抗菌剤にも様々な種類があり、人により病気により効果的な薬は異なります。
患者様が急性炎症だと判断された場合、通常ではその病気に有効と思われる4〜5日分の抗菌剤をお出しします。そしてその抗菌剤を飲みきった時点で薬の効き具合を見、もう炎症が治まったから薬を止めるか、炎症がかなり下火になったので同じ薬をもう少しだけ追加して服用していただくか、あまり治療効果が上がっていないので別の種類の抗菌剤に変更するかを判断しているのです。
また抗菌剤の種類によっては比較的長期間服用する事で治療効果を得られるものもあります(例えばクラリスは2〜3カ月継続して服用していただく場合も少なくありません)。
このように患者様の症状と抗菌剤の性質に合わせて薬の投与日数を加減しておりますので処方された薬はきっちりと飲みきっていただきたいと切に願う次第です。