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院長通信

2014年12月

スギ花粉症に対する舌下免疫療法について

 今回は先月の院長通信でも紹介させていただきましたスギ花粉症に対する舌下免疫療法について少し詳しく説明させていただきます。

 アレルギー性鼻炎に対する免疫療法は、抗原と考える物質を少しづつ増量しながら体内に入れ、抗原に対し反応しにくい体にする治療法で、これまでは皮下注射で抗原を投与する方法が行われていました。
しかし免疫療法は治療効果がすぐに現れない上、皮下注射による抗原投与は長期間にわたる定期的な通院(最初の数か月は週に二度)が必要となるためなかなか一般的な治療法にはなりえませんでした。

 今回認可されたスギ花粉症に対する舌下免疫療法はスギ花粉からの抽出物(抗原エキス)を少しずつ増量しながら毎日摂取する治療法で、投与開始から2週目までは週に一度、3週目以降は月に一度(薬剤発売後1年が経過する平成27年10月までは月に二度)の通院で抗原エキスの処方を受けることにより治療が可能ですので、皮下注射法に比し大幅に通院回数を減らすことができます。
ただし抗原エキスは1年365日毎日摂取せねばなりません(水様の抗原エキス液を舌の裏側に滴下し、2分間溜めた後に嚥下します)。
また免疫療法は治療効果が出現するまでに3〜6ヶ月はかかり、花粉の飛散時期には治療を開始できませんので、治療を開始する時期としては毎年5月から11月が望ましいということになります。
つまり平成27年のスギ花粉症対策としては舌下免疫療法を用いることはできず、平成27年の花粉飛散期以降に平成28年以降の効果を期待して治療を開始するという形になります。

 免疫療法は長期間抗原エキス摂取を続けるほど治療効果が向上するとされており、少なくとも2年以上継続することが推奨されています。
治療を開始するに当たってかなり覚悟のいる治療法ですので、治療についての十分な説明を行い、治療同意書にご署名いただいた上で治療を開始させていただくことにいたしました。

 治療対象となるのは12才以上の方です。高血圧、不整脈などでβ阻害薬(インデラル、セレクトール、テノーミン、アーチスト他)を服用されている方はこの治療を受けることができません(ショックを起こした場合に救急薬剤が使用できないため)。またステロイド剤や抗がん剤服用中の方もこの治療を受けることができません。
このように数々の縛りのある治療法ですのでより詳しい説明を院内に用意いたしました。この治療法に興味のある方はご請求ください。