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院長通信

2015年3月

急性低音障害型感音難聴

 皆さんは急性低音障害型感音難聴という病名を聞かれた事があるでしょうか。これはある日突然に聴こえが悪くなったり耳鳴りがしたりする病気です。
同じように突然聴こえが悪くなる病気に突発性難聴という病気があります。
急性低音障害型感音難聴では病名にあるように低い音のみが悪化するのに対し、突発性難聴では低音域から高音域までにわたって全音域で聴こえが悪化するところが大きな鑑別点です。
また急性低音障害型感音難聴は比較的治癒しやすいがしばしば再発するといった特徴を持つのに対し、突発性難聴は早期に治療を行わなければ回復が難しく再発は起こらないといった違いがあります。

 当院では最近立て続けに急性低音障害型感音難聴を罹った患者さんが来院されましたので、今回はこの疾患について述べさせていただきたいと思います。

 急性低音障害型感音難聴は文字通り聴力が悪化する病気ですが、悪化する部分が日常会話にあまり関与しない低周波の音域であるため、聴こえの悪さとしては感じられず、耳鳴り、耳がふさがった感じ、なんとなく音が耳に響くといった症状で気づかれる場合が多いようです。
この病気は若い女性に比較的多くみられ、その発症の仕方などからメニエール病に近い内耳障害ではないかと考えられています。予後は比較的良好で、当院の患者様もほぼ全員が正常な聴力まで回復されています。治療を行わなくても回復するケースもあることから、積極的に治療を行わない医師もあるようですが、当院では急性低音障害型感音難聴と診断がつき次第、症状に応じてステロイド剤、ビタミン剤、循環改善剤、浸透圧利尿剤で治療を行っています。
この病気が起こる原因は不明で、ストレスや疲労が誘因になるのではと考えられています。一旦聴力が回復しても数か月以内に再び悪化する例がしばしば認められますので当院では症状が改善した患者様に発症後約半年は聴こえ方に注意を払い異常があればすぐに再受診していただくようお願いしています。
頻回に再発を繰り返す場合は頭のMRIを撮影し腫瘍病変の有無等を確認する必要もあります。

 「耳が塞がった感じがする」、「耳鳴がする」、「音が響いて聞こえる」等の症状があった場合は「そのうちに治るのではないか」と放置せず早急に耳鼻咽喉科医を受診される事をお勧めします。