兵庫県西宮市甲子園口 耳鼻咽喉科 レーザー手術 甲状腺腫瘍 花粉症 アレルギー

院長通信

2015年6月

スギ花粉症の患者様へ

 6月の声を聴き今年のスギ花粉症シーズンも終わりを迎えました。今年は雨が多かったせいかスギ花粉の飛散が比較的少なく、 例年より症状が軽くて済んだ患者様が多かったように思われます。
このようにスギ花粉症の症状の強さは気候によって大きく左右されますのでスギ花粉症に対する治療法の効果判定には 気象条件も加味して慎重に行う必要があります。
余談ですが、私が約30年前にアレルギー性鼻炎に対するレーザー手術を開発した時には治療対象をハウスダストやダニによる 通年性アレルギーの患者様に限定してレーザー手術を行いました。これは通年性アレルギーの患者様の症状が気象条件に影響 されず治療効果判定が比較的容易に行えるためでした。レーザー治療が通年性アレルギー鼻炎の治療に有効であると判断された後、 スギ花粉症に対してもレーザー治療を行ってみましたところ良好な治療効果が認められましたので今日では通年性、季節性を 問わずアレルギー性鼻炎に対しレーザー手術を行っております。
このレーザー手術はアレルギー性鼻炎を根本的に治す治療法ではなく、症状を軽減させるための治療法です。

 アレルギー性鼻炎の根治的な治療法としてはアレルギー症状の原因となっている抗原を少しづつ増量しながら体に投与し、体を抗原に慣らすことによってアレルギー症状を発現しにくくするアレルゲン免疫療法があります。
レーザー手術では目の痒みを抑えることはできませんが、免疫療法では目の痒みも抑えることが期待できます。

 昨年スギ花粉症に対するアレルゲン舌下免疫療法に使用できる薬が発売されました。これはスギ花粉からの抽出物(抗原エキス)を少しずつ増量しながら毎日舌下に滴下する治療法で、投与開始から2週目までは週に一度、3週目以降は月に一度(薬剤発売後1年が経過する平成27年10月までは月に二度)の通院で治療薬の投与を行います。
舌下免疫療法はスギ花粉の飛散時期には治療を開始できませんので今月から治療開始が可能となりました。
治療対象となるのは12才以上の方で、高血圧や不整脈などでβ阻害薬(インデラル、セレクトール、テノーミン、アーチスト他) を服用されている方はこの治療を受けることができません。またステロイド剤や抗がん剤服用中の方もこの治療を受けることができません。
免疫療法は最低でも2年以上毎日薬剤の摂取を継続することが必要です。
治療を開始するに当たってかなり覚悟のいる治療法ですので、治療についての十分な説明を行い、治療同意書にご署名いただいた上で 治療を開始させていただきます。この治療法に興味のある方はいつでもご相談ください。