兵庫県西宮市甲子園口 耳鼻咽喉科 レーザー手術 甲状腺腫瘍 花粉症 アレルギー

院長通信

2015年7月

身体検査雑感

 私ども耳鼻咽喉科医にとって毎年5月、6月は身体検査の時期となります。私の受け持ち施設の半部以上は保育所、幼稚園で毎年約700名の幼児を診察することになります。
今回はこのたくさんの子供たちを診察した際に感じたこと(お母さま方へのお願い)について述べさせていただきたいと思います。

 お願いその一 : 年に一度は子供さんの耳の中をのぞいてあげてください。
身体検査で最も気になるのは外耳道(耳の穴から鼓膜までの通路)に耳垢(みみあか)が充満し、鼓膜が観察できない子供さんが多いことです。聴こえ方に問題がなければよいのですが、耳垢を取ってみたら鼓膜の色が悪く滲出性中耳炎にかかっていたという子供さんもしばしばみられます。 お家で掃除ができればよいのですが、なかには掃除をしたつもりが耳垢を外耳道の奥に押し込んでいたといった例も少なくありません。耳の中に何かあるのが見えたら専門医を受診することをお勧めします。

 お願いその二 : 色のついた鼻が出ているときは医者に連れて行ってください。
身体検査で0〜2歳児を診察すると約半数の子供さんは鼻を垂らしています。透明な鼻の場合は様子を見ても構いませんが緑色や黄色の鼻が出ている場合は細菌感染による副鼻腔炎を起こしている可能性が高いのです。副鼻腔炎は放置すると慢性化し、大人になってからも苦労する場合がありますので色のついた鼻を出している場合は専門医を受診させてください。

 身体検査でしばしば耳にするのが「言葉が遅れている」、「正確な発音ができない」といった言葉に関する悩みです。幼児の言葉の発達には大きな個人差がありますのであまり神経質になる必要はないと思いますが、なかには難聴のため言葉が修得できない例もありますのでしゃべり方に不安のある子供さんは専門医の診察を受けた方が良いと思います。満5〜6歳になっても正しい発音ができない場合は構音障害と判断されますので専門的な訓練が必要となります。

医学関連の故事成語

病膏肓に入る(やまいこうこうにいる)

意味: 病気がひどくなり治療のしようがないこと。転じて趣味や道楽に熱中しすぎて、どうにも手がつけられなくなることのたとえ。

昔中国の晋という国の王様が重い病気になったため、他国から名医を呼んだところ、医者が着く前に病気の精が二人の童子となって、「名医が来るそうだから膏(心臓の下の部分)と肓(横隔膜の上の部分)の間に隠れよう」と相談している夢をみた。到着した医者が王様を診察し、「膏と肓の間に病気があり、薬も針も届かないので治療のしようがありません」と言ったので、王様はさすがに名医であると感服し、その医者を厚くもてなした。