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院長通信

2015年8月

夏かぜ

 毎年7月から8月にかけて夏かぜがはやります。今回は夏かぜの特徴と対策について述べさせていただきます。
「かぜ」という言葉は一般的にウイルス感染による急性炎症に対し用いられる言葉ですが、夏かぜの原因もほとんどがアデノウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルスなどのウイルス群です。
症状は発熱、咽頭痛、腹痛などで、冬場に流行るインフルエンザなどと比べ接触感染、経口感染が多く、子供に多く見られるといった特徴があります。ウイルスによる夏かぜに対し効果のある抗菌薬はありませんので対症療法で症状の改善を待つことになります。
夏かぜをもう少し詳しく分類すると、その特徴によりいくつかの疾患に分けられます。
中でも代表的な疾患が咽頭結膜熱(プール熱)、手足口病、ヘルパンギーナで小さいお子様をお持ちの方は一度や二度は耳なされたことがあると思います。

 咽頭結膜熱(プール熱)はアデノウイルスによる感染症で、その特徴は数日間続く高熱、扁桃腺炎を思わせる強い咽頭痛、結膜炎による目の痛み、痒み等です。症状が比較的重篤なので安静と十分な水分補給が必要です。プール熱と呼ばれますが必ずしもプールで移るわけではありません。接触感染する傾向があり、タオルの共用等が感染の原因になることがありますので注意が必要です。この病気に感染すると症状が改善した後も2日間は登校、登園ができないことになっていますのでご注意ください。

 ヘルパンギーナはコクサッキーA群ウイルスによる感染症で咳などによる飛沫感染が多いと考えられています。2〜3日の高熱、口腔内の水疱出現を特徴とする病気です。

 手足口病はコクサッキーウイルス、エンテロウイルス等による感染症で手のひら、足の裏、口の中に赤い発疹が出現するのが特徴で、発熱しない場合も多く高熱を出すことはまずありません。

 これらの疾患はほとんどの場合対症療法のみで軽快するのですが、まれに髄膜炎等の合併症を起こすことがありますので高熱が持続する場合は注意が必要です。予防としてはまず手洗いの励行です。うがいももちろん有効です。

 これらの夏かぜの診断には血液検査で白血球数、白血球分画を調べることが有用です。夏かぜに細菌感染を合併することも少なくありませんが、このような場合は炎症反応が上昇します。細菌感染は抗菌剤で治療することができますので、高熱が持続する場合は一度血液検査を受けられることをお勧めいたします。