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院長通信

2016年4月

治療に時間がかかる病気

 今年は流行のスタートが遅れたインフルエンザですが、その分流行期間が長引いているようで、この原稿を作成している3月末現在でも毎日のようにインフルエンザに罹った患者様が受診されます。 また今年は昨年よりスギ花粉の飛散量が多かったようで花粉症の患者様も多数受診されました。 インフルエンザも花粉症もそろそろ終息に向かうと思われますが、今月一杯は十二分に注意を払う必要があると思います。

 適切な治療を行いますとインフルエンザでは約1週間で、花粉症でも約2ヶ月で健常な状態に戻ることができますので、医者の立場からするとこれらは治療終了時期の目途が立てやすい病気です。 しかし病気の中には治療に数ヶ月から数年必要なものもあり、このような病気では治療終了時期の目途が立たず、患者様はもちろん医者にも強いストレスがかかることになります。
今回は治療に時間がかかる病気の代表例について説明させていただき、治療に時間がかかる理由を知っていただきたいと存じます。

  1. 副鼻腔炎
    一般的に「蓄膿症」と呼ばれている鼻の病気で副鼻腔と呼ばれる顔面骨内の空洞に炎症が生じ、鼻詰まりや色のついた鼻汁が特徴です。しばしば患者様から「蓄膿症は治るのでしょうか?」と問われるほど治癒が難しい病気と考えられています。確かに幼少時より副鼻腔炎に罹ってきた大人では治療の効果が得られないことも多く、外科手術が必要となる例も少なくありません。しかし子供の副鼻腔炎は根気よく治療を行えばほとんどの例で治癒させることができます。子供のうちにしっかりと治して大人になるまで病気を引きずらないようにしてください。
  2. 滲出性中耳炎
    耳とのどを繋いでいる耳管(じかん)という器官の不調が原因で耳がこもった感じや難聴が生じる病気で、大人にもしばしば見られますが圧倒的に幼児に多く見られる病気です。幼児期は耳管機能が未発達なため一度この病気にかかると年余の治療が必要となることも少なくありません。放置すれば難聴が固定し、外科的治療が必要になる場合もありますので根気よく鼓膜を動かす治療を行う必要があります。
  3. 真菌感染症および多剤耐性菌感染症
    真菌(カビ)や多剤耐性菌(抗生物質の効かない細菌)による中耳炎、外耳炎、副鼻腔炎も治療に時間がかかる病気です。真菌や多剤耐性菌は薬物に対し抵抗力を持つため短期間で駆除することが困難なのです。体の抵抗力でこれらの菌に打ち勝つためには数ヶ月から数年にわたる継続的な治療が必要になります。

 当院では以上のような病気にかかられた患者様にはできるだけ局所所見をお見せして 治療経過を説明するよう努めております。治療に時間がかかると説明があった場合は覚悟を決めて根気よく治療に取り組んでいただきたいと思います。

 患者様の中には少し症状が改善すると病気が治ったと自分で判断し治療を止めてしまう方がおられます。治療を途中で中断すると結果的に病気を慢性化させてしまう場合もありますので医師に治療終了を告げられるまで治療を続けていただきたいと思います。