兵庫県西宮市甲子園口 耳鼻咽喉科 レーザー手術 甲状腺腫瘍 花粉症 アレルギー

院長通信

2018年1月

抗生剤の使い方

 皆様は抗生剤(抗生物質)という言葉をご存知だと思います。一般的に感染症になったら病院で抗生剤を処方してもらって治療すると理解されているようです。 当院を受診される患者様の中にも「風邪を引いたから抗生剤をください。」とか「以前にもらった抗生剤が残っていたので服用しました。」とかおっしゃる方がおられます。 しかしこのような言葉を聞く度に抗生剤(抗生物質)の役割が正確に理解されていないことを感じます。
そこで今回は結構誤解されている抗生剤(抗生物質)という薬のついて述べたいと思います。

 抗生剤(抗生物質)はおおきな分類でいうと抗微生物薬の中に含まれます。 感染症を引き起こす細菌、ウイルス、真菌、リケッチアなどたくさんの病原微生物を殺したり無害化したりして感染症を治す薬はすべて抗微生物薬と呼ばれます。 この抗微生物薬は現代の医療において重要な役割を果たしており、感染症の治癒、 患者の予後の改善に大きく寄与してまいりました。 しかし抗微生物薬は不適正に使用すると薬剤耐性菌を出現させ、さらに難治性の感染症を増加させる危険があります。 抗微生物薬の使用には厳格な基準が求められているのです。

 抗生剤(抗生物質)とは「微生物が産生し、ほかの微生物の発育を阻害する物質」で厳密には自然界に存在する微生物から作られたものです。 近年では化学合成で生産されるものや、天然の誘導体から半合成される「合成抗菌薬」も含めて抗生剤(抗生物質)と呼ばれることもありますが、厳密には別のカテゴリーの薬です。 抗菌性の抗生物質合成抗菌薬をあわせて、広義の抗菌薬と呼ぶこともあります。

 抗生剤(抗生物質)は細菌の引き起こした感染症に適切な量を使用することにより有効な治療薬となります。 ウイルスが原因の風邪への使用や不適切(不十分や過剰)な量の使用は強く戒められております。

 当院では血液検査で白血球の数、内容を検討し適切な量の抗生剤(抗生物質)を処方するように努めております。 患者様の中には症状が改善すると病気が治ったと自分で判断し抗生剤(抗生物質)の服用を止めてしまう方がおられます。 しかしかなりの方が数週間以内に症状の再出現を認め再来院されます。 治療を途中で中断すると結果的に病気を慢性化させる場合があります。 細菌感染症に対して中途半端な治療を行うと、先にも述べました薬剤耐性菌を作り出す危険があります。

 医師からのお願いは、『
@処方された抗生剤(抗生物質)は指示されたとおりに服用してください、
A抗生剤(抗生物質)の服用が終わったら速やかに再受診し、抗生剤(抗生物質)の服用を終了できるか、追加で服用がする必要があるかを判断させてください。
』の2点です。
病気を治すのはあくまで患者様で私ども医師はそれを助ける位置にあると考えております。 私たち医師が経験の積み重ねで行う助言を参考にしていただきより快適な生活を送っていただきたいと切望する次第です。