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院長通信

2010年6月

風邪症候群

普段私たちが「風邪」あるいは「感冒」と呼んでいる病気は種々の原因により発熱、咽頭痛、鼻漏、咳等の症状を呈する上気道の急性炎症の総称です。
よく「これは風邪ですか?」と質問される患者様がおられますが、上記のような症状を呈する各種の疾患は全て「風邪症候群」に含まれると言っても差し支えないのです。
「風邪症候群」を引き起こす最大の原因はウイルス感染で、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルス等が挙げられます (ウイルスが原因の疾患のみを風邪と考えている医師もおります)。

一方溶血性連鎖球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌(昔インフルエンザの原因と誤認された細菌)等の細菌感染によって引き起こされる 「風邪症候群」もあります。

このように「風邪症候群」は症状を引き起こす原因が異なりますので、同じような症状でも原因によって治療法が異なります。
ウイルスが原因
の「風邪症候群」に対しては対症療法が主となり抗生剤は無効です。
またインフルエンザ、ヘルペス、水痘等のウイルス性疾患に対しては、発症直後であれば抗ウイルス薬が有効です。
細菌感染による「風邪症候群」に対しては抗生物質が有効です。

ウイルス感染か細菌感染かの鑑別診断は容易ではありませんが、白血球数、白血球分画、CRP値の測定、ウイルス測定キットによるウイルス抗原の検出等により かなり正確に診断できるようになってきました。
抗生物質の多用による耐性菌(薬の効きにくい細菌)の増加が心配されている昨今、当院では上記の検査を行って「風邪症候群」の原因を出来る限り追求し、 抗生物質の投与を控えたいと考えております。