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院長通信

2010年9月

滲出性中耳炎

小児によくみられる耳鼻咽喉科疾患の代表的なものに滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)があります。
滲出性中耳炎は中耳腔と呼ばれる鼓膜の内側のスペースに粘膜から滲みだした液体が貯留する病気で、痛みを訴えることはまずありません。 呼びかけに反応しない、テレビを近くで見るなどから聞こえが悪いのではと疑われて耳鼻咽喉科を受診し、発見されることが多い病気です。

アデノイド増殖症や慢性副鼻腔炎などの疾患により耳管という中耳腔と咽頭腔との間をつなぎ換気を行っている管が役目を果たせなくなると、中耳腔が陰圧となり滲出液と呼ばれる液体が滲みだしてくるのです。
口をいつもあけている、いつも黄色い鼻水を垂らしている、いびきが大きいなどの症状があればこの病気を疑う必要があります。
滲出性中耳炎を放置すれば癒着性中耳炎という状態まで進行し、手術を行わなければ改善しない伝音性難聴を残す場合もあります。 なかなか治りにくくまた一旦治ってもすぐに再発するために、お母様方から「いつまで通院しなければならないのですか?」「まだ良くなりませんか?」とよく質問を受ける病気です。

重症の滲出性中耳炎に対しては、アデノイド切除術や口蓋扁桃摘出術を行って耳管咽頭口周囲を拡げ、耳管の機能を回復させることが必要です。 また上記の手術の代わりに鼓膜にドレーンチューブを留置し、このチューブに耳管の役割をさせることによって滲出液の貯留を防ぐ方法もあります。 一般的にこのチューブは数カ月から半年後に取り除きますが、すぐに滲出性中耳炎が再発し、チューブ留置術を繰り返す子どもさんも多々見られます。
一方軽症例では耳管通気と呼ばれる耳管から中耳腔に空気を送る治療と鼻、のどの治療を行う事によって滲出性中耳炎を治癒させることができますが、しばしば再発を繰り返します。

このように滲出性中耳炎という病気は一旦発症するとなかなか完治しにくく患者様やご家族にとってストレスのたまる病気です。
しかし滲出性中耳炎は耳管機能が確立される小学生高学年になると自然に治ってしまいます。それまでは気長に症状に応じた治療を行っていただきたいと思います。