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院長通信

2012年6月

いびきのお話

 耳鼻咽喉科を受診される患者様は種々の症状を持っておられますが、その一つに「いびき」という症状があります。今回は「いびき」についてお話したいと思います。

 一般的に「いびき」発生の最大の原因と考えられる部位は軟口蓋(なんこうがい)と呼ばれる口の奥の部分で口と鼻を隔てている組織です。
口をあけると口蓋垂(いわゆるのどちんこ)が見えると思いますが、この口蓋垂のついている部分が軟口蓋です。この軟口蓋は筋肉でできており、日常の生活ではことばを形作ったり、食物の鼻への逆流を防いだりする大切な器官なのですが、睡眠状態となり筋肉が緊張を失うと容易に振動し、「いびき」の音源となるのです。
但し全ての人が睡眠時に「いびき」をかくわけではありません。
「いびき」が発生するためにはいくつかの原因があり、それらが単独または組み合わさって「いびき」が生ずるのです。
局所的な原因としてはアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、鼻中隔彎曲症などの鼻疾患やアデノイド増殖症(咽頭扁桃肥大)による鼻づまり、口蓋扁桃肥大、舌扁桃肥などによる咽喉(のど)の狭窄があげられます。口蓋垂が長すぎる場合も「いびき」の原因となります。
全身的な原因としては肥満、過労、過度の飲酒などがあげられます。

 「いびき」を小さくしたり止めたりするためには、上記の原因を無くしていくことがポイントになります。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎を適切に治療するとそれだけで「いびき」が小さくなる場合があります。
鼻中隔彎曲症、アデノイド増殖症、口蓋扁桃肥大などが原因となっている場合には外科的治療(手術)が必要となる場合も少なくありません。
長すぎる口蓋垂が原因の場合は外来手術で口蓋垂を短縮させることで「いびき」を改善させることが出来ます。
体重を適切に保ち、規則正しい生活を送ることも「いびき」の改善につながります。

 「いびき」の原因は年齢によっても大きく異なり、小児期の「いびき」はアデノイド増殖症、口蓋扁桃肥大などによるものが多く見られ、大人になると鼻疾患、肥満などによるものが大部分となります。
軽い「いびき」も放置しておくと徐々に重症化し、睡眠時無呼吸症候群と呼ばれる、寝ている間に呼吸が止まってしまう状態にまで進む場合があります。

 「いびき」は自分では気づくことの出来ない症状ですが、いつも寝不足を感じたり、日中によくうたた寝をしたりする方は一度周りの人に「いびき」の有無を確認された方が良いと思います。
周囲から「いびき」を指摘されたり、睡眠時の無呼吸を指摘されたりする方は専門医の診察を受けて早期に適切な対策を取ることをお勧めします。
特に小さな子供さんの「いびき」を放置すると顔の形に影響が出る場合があります。長期間口呼吸をつづけていると顔の骨格が変形しアデノイド顔貌(がんぼう)と呼ばれる特有の顔つきになってしまいます(いつもポカンと口を開けているお顔です)。このようなケースでは歯列も乱れ歯列矯正が必要となる事もあります。

「いびき」でお悩みの方は是非一度耳鼻咽喉科医の診察を受けて下さい。