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院長通信

2012年11月

急性上気道炎の治療

 10月になって気温の変動が激しくなるとともに体調を崩される患者さんが多くなってまいりました。咽頭痛、頭痛、鼻水、咳、発熱などの症状で耳鼻咽喉科を受診される患者様の多くは普段私たちが「風邪」あるいは「感冒」と呼んでいる上気道の急性炎症にかかっておられます。
上気道炎を引き起こす主な原因はウイルスと細菌ですが、どちらによって引き起こされた上気道炎かによって治療方法が異なります。 今回はこの急性上気道炎の治療についてお話したいと存じます。

 上気道の急性炎症を防ぐ上で最も大切なことは上気道炎を予防する事で、マスクの着用、手洗いやうがいの励行、規則正しい生活を送り過労を避けることなどがあげられます。
不幸にして上気道炎にかかってしまった場合は「早期発見・早期治療」が重要です。
「早期発見・早期治療」はどのような病気に対しても大切なことですが、私たちが日ごろ遭遇する(罹患する)可能性の高い上気道炎ではひとたび対応を誤ると自分が困るだけではなく周囲にも迷惑をかけてしまいます。薬のコマーシャルではありませんが「かかったかな?」と思った時に治療を開始すると短期間に上気道炎から回復する事が出来るのです。

 ウイルスが原因の急性上気道炎の治療にはいわゆる風邪薬が有効で、抗菌剤には効果を期待できません。
一方、細菌が原因の急性上気道炎の治療には抗菌剤が必須となります。当院では迅速血液検査を導入しており、白血球数、白血球分画、炎症反応(CRP)値などからウイルス感染か細菌感染かを即時に鑑別し、より適切な治療が行えるよう努力しております。
「かかったかな?」と思われた際には早急に検査を受けられることをお勧めいたします。

 インフルエンザなどの一部のウイルスには早期に使うと有効な抗ウイルス剤が開発されております。インフルエンザの場合かかってから2日以上経つとこれらの薬の効果は期待できなくなりますのでやはり早めの受診が必要です。

 細菌感染による上気道炎の患者様にしばしばみられる例ですが「症状が軽くなったので薬の服用を中止したところまた症状が再発した」という事があります。抗菌剤をだらだらと繰り返し使用するのは耐性菌(抗菌剤が効きにくい細菌)を作り出す大きな原因です。「もう上気道炎は改善したので抗菌剤を飲まなくても良いですよ」といわれるまで抗菌剤の服用を続けていただきたいと存じます。

 早期に診断をつけて治療を開始し、適切な薬を適切な期間使用して短期間で健康を回復するというのが上気道炎に対する最も望ましい対処法であると考えます。