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院長通信

2013年7月

口呼吸

 皆さんは「口呼吸」という言葉を聞かれた事がありますか。文字通り「口」から息を吸ったり吐いたりする事です。人は安静時には通常鼻を通して呼吸を行っており口は閉じられています。しかし運動などで体が多量の酸素を要求した時には口を開けて呼吸し、吸入する空気の量を増やします。ところが何らかの理由で鼻からだけでは十分な量の酸素が取り込めなくなると常に口を開けて呼吸しなければならなくなってしまいます。このような「口呼吸」を常に行っていると何時も口がポカンと開いた状態(これを専門用語ではアデノイド顔貌(がんぼう)と呼びます)となります。

 毎年春は検診の季節ですが、私ども耳鼻科医が子供さんを診察する時に注意する症状の一つにこの「口呼吸」があります。常に「口呼吸」を行っている子供さんは副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、アデノイド増殖症、口蓋扁桃肥大などの病気を基礎に持っておられる事が多いからです。このような病気を放置していると、滲出性中耳炎や呼吸器疾患が続発してくる事があります。
またこのような病気がいびき、睡眠時の無呼吸、集中力の低下などの原因になる場合もあります。「口呼吸」を長く放置していると歯並びが悪くなり、成長してから歯列矯正のために苦労する事もあります。

 このように「口呼吸」に気づく事は多くの体の不具合を未然に防ぐ第一歩となります。
しかし「口呼吸」を行っている大多数の子供さんは自分で息苦しさを訴える事はまずありません。ご両親をはじめとする周囲の人々が注意を払ってあげる事が大切です。
口を開けている子供さんを見かけたら、一度口を閉じるよう指示してみて下さい。
たいていの場合数分間は口を閉じる事が出来ると思います。
しかし子供の注意が他にそれるとまた口が開いてしまうのが観察できると思います。
これが「口呼吸」です。

子供さんが「口呼吸」を行っている場合は是非一度耳鼻咽喉科医の診察を受けさせて下さい。