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院長通信

2013年12月

鼻汁の話

 異常な暑さが続いた今年の夏が終わったのがつい最近の様に思われますが、今度は秋を飛び越えて急に冬が来たように気温が下がってまいりました。
当院でも11月初めから急に来院される患者様が増加しましたが、その多くの方が鼻汁の増加を訴えられます。 私どもが鼻汁を訴えられる患者様を治療させていただく場合、患者様の年齢、鼻汁の量や性質、合併する症状などにより治療法が異なります。
そこで今月は鼻汁について述べさせていただきたいと思います。

 寒く空気の乾燥した冬季になると真っ先に増加するのが鼻汁を垂らした乳幼児の患者様です。 これは抵抗力、適応力が十分でない乳幼児が寒冷や乾燥といった気象条件の影響を最も受けやすいためです。多くは水鼻で始まりますが、この時期に適切な手当てをしないと細菌感染を合併し黄色い鼻汁を出す副鼻腔炎の状態になります。副鼻腔炎を放置すると急性中耳炎、滲出性中耳炎、気管支炎、肺炎などを続発する事もしばしばで、適切な抗生剤の内服が必要となります。乳幼児に黄色い鼻汁を認めたらすぐに耳鼻咽喉科を受診させていただきたいと存じます。乳幼児の鼻汁はなかなか止まりにくく長期間の通院が必要となる場合も少なくありませんが、根気よく治療を受けさせていただきたいと存じます。

 またこの時期の成人によく見られる鼻汁には、寒冷刺激により生ずる水鼻、ウイルス感染症(いわゆる風邪症候群)による水鼻、細菌感染症(急性副鼻腔炎)による黄色い鼻汁などが上げられます。
寒冷刺激による水鼻は自律神経失調にも効果のある抗アレルギー剤、ウイルス感染による水鼻は感冒薬、細菌感染による鼻汁は抗菌剤等で治療を行います。
血液検査や内視鏡検査で確実な診断をつけ、より有効な薬剤、治療法を選択し早期に鼻汁を減らす事が大切です。
鼻の粘膜には鼻汁をのどの奥に送る働きがありますので、鼻汁が増加してくると鼻がのどに流れる状態(後鼻漏と呼びます)が出現します。この後鼻漏は咽頭の違和感、咳などの原因になる事がしばしばで、のどの症状で受診されたのに実は鼻の病気が原因であったといった例も少なくありません。

 治療を受けられている時に注意していただきたいのは治療を止めるタイミングです。 「鼻汁が止まったので治療を止めました」というお話をよく耳にするのですが、中途半端に治療を中止し、直ぐに症状を再発させる患者様をしばしばお見受けします。
病気を完全に治し、耐性菌の出現を防ぐためにも「治りましたので治療を終了します」と申し上げるまで指示された通りに治療を受けていただくようお願いいたします。