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院長通信

2014年5月

迅速血液検査

 今月は当院で行っております迅速血液検査について説明させていただこうと思います。この迅速血液検査は発熱、咽頭痛、鼻漏、咳等の症状を訴えられる患者様の血液中の白血球の数、白血球中のリンパ球と顆粒球の割合、C反応性蛋白(CRP)と呼ばれる炎症反応の指標を測定するものです。必要な血液量は約1mlで検査時間は約5分です。

 発熱、咽頭痛、鼻漏、咳等の症状は急性上気道炎によって引き起こされます。「私の病気は風邪ですか?」と質問される患者様がおられますが、「風邪」とは狭い意味ではインフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルス等のウイルスによって引き起こされた急性上気道炎の事で、広い意味では溶血性連鎖球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌(昔インフルエンザの原因と誤認された細菌)等の細菌によって引き起こされる急性上気道炎も含まれます。同じ急性上気道炎でもそれを引き起こしている原因がウイルスか細菌かによって治療法が全く異なります。ウイルスが原因の急性上気道炎に対しては対症療法が主となり抗生剤は無効です。一方、細菌が原因の急性上気道炎に対しては抗生物質の使用が第一選択となります。そして迅速血液検査は急性上気道炎がウイルス感染によって引き起こされたものか細菌感染によって引き起こされたものか、両者が一緒に感染して引き起こされたものかを判断するきわめて有力な情報を与えてくれるのです

 迅速血液検査を用いた的確な診断により適切な薬剤で急性上気道炎を治療する事は治療期間の短縮、治療費の抑制に役立つと考えております。また抗生物質の多用による耐性菌(薬の効きにくい細菌)の増加が心配されている昨今、抗生物質の使用量を減らす事にも役立つと考えております。

 当院では幼児の急性上気道炎にも出来るだけ迅速血液検査を行うようにしておりますが、その結果この4年間で3人の川崎病の患者様が早期発見され、これらの患者様は後遺症なく完治されております。

 このように迅速血液検査は多くの利点を有しておりますので急性上気道炎の症状を認める患者様には是非ともこの検査を受けていただき的確な治療法を選択していただきたいと考えております。