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院長通信

2014年6月

相性

 今月は病気の話からは少し外れますが「相性」という言葉についてお話したいと思います。
「相性」とはもともと古代中国の陰陽五行思想から発生したもので、簡単に要約すると「複数の事物の持つ属性が相互に影響し合って良い方向に強まるか、悪い状態に陥るか」という事になります。この思想は仏教などとともに日本に伝わり、昔の日本では種々の場面で大きな影響力を持っていました(皆さんも陰陽師という言葉を耳にされた事があると思います)。
科学の発達した現在でも人間同士の関係や機械部品同士の接続などの際この言葉が使われております。

 現代医学は科学であり、「相性」といった非科学的な言葉を用いるのは間違いだとする考え方も当然存在するわけですが、永らく臨床の場に身を置いてまいりますと理論一辺倒では説明できない事象に遭遇する事も多々あるのです。 

 例えば同じ花粉症の患者様でも特定の薬で症状が改善する方がおられる一方、同じ薬で却って症状が悪化される方がおられます。この場合症状が改善された患者様と特定の薬は「相性」が良く、症状が悪化した患者様と特定の薬は「相性」が悪いと考えられるのです。
このように私が行っております日常診療では如何に早く患者様と「相性」の良い治療法を見つけ、患者様の症状を改善するかという事が大切になってくるのです。血液検査、聴力検査、内視鏡検査といった種々の検査を行うのもより早く「相性」の良い治療法を見つけるためなのです。
一つの治療法で十分な治療効果が得られなかった場合は次々と異なった治療法を用いて「相性」の良い治療法を探してゆくことになるのです。

 この「相性」は当然患者様と医師の間にも存在します。医師が治療法を選択するように、患者様も医師を選択する事が出来るのです。治療に納得がゆかない、効果が十分でないなどと感じられる場合、医師との「相性」が悪い場合もあると思います。このような場合は躊躇せず他の医師の診察を受ける事をお勧めします。
自分と「相性」の良い医師を選択し、その医師に「相性」の良い治療法を見つけてもらう事は、病気を治す上で非常に大切なことだと思われます。