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院長通信

2015年9月

新しい血液検査機器の導入について

 先月の院長通信でも述べさせていただきましたが、発熱、鼻漏、咽頭痛などの症状が出現するいわゆる風邪症候群の診断には血液検査で白血球数、白血球中のリンパ球と顆粒球の割合、C反応性蛋白(CRP)と呼ばれる炎症反応の指標を測定することが有用です。
ウイルス感染による風邪症候群では一般的に白血球数は減少し、リンパ球の割合が増加し、CRPは上昇しません。
一方細菌感染症では白血球数が増加し、顆粒球の割合が増加し、CRPが上昇するのです。

 当院ではこれまでも風邪症候群の診断に積極的に迅速血液検査を行い、適切な薬剤の選択に役立たせてまいりました。しかし従来の血液検査機器では約1mlの血液が必要で、注射器を用いて静脈血を採取しなければなりませんでした。 したがって採血が困難な乳幼児の発熱に対しては、血液検査を用いた的確な原因診断ができませんでした。

迅速血液検査装置
新しい迅速血液検査装置

 そこで今回 血液検査機器を更新し、微量の血液でも白血球数、白血球中のリンパ球と顆粒球の割合、C反応性蛋白(CRP)が測定できる機器を導入いたしました。
新しい検査機器で必要な血液量は胡麻粒ほどで、セーフティプロプラスという特殊な皮膚穿刺器具で指先を穿刺することにより1歳以下の乳児からでもほとんど無痛で必要な血液を得ることができます。新しい血液検査機器導入以来10名以上の乳幼児にこの検査を行いましたが、患児に苦痛を与えることなく有用な検査結果を得ることができております。ウイルス感染が原因と考えられる風邪症候群に対しては対症療法が主となり不必要な抗生剤の投与を避けることができます。一方、細菌感染によると思われる風邪症候群には積極的に抗生物質を使用して治療を行います。

 迅速血液検査を用いた的確な診断により適切な薬剤で風邪症候群を治療する事は抗生物質の使用量を減らす事にも役立つと考えております。

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