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院長通信

2015年11月

扁桃肥大とアデノイド増殖症

 年少のお子様をお持ちの方で、子供さんのいびきや口呼吸を気にされる方からしばしば対処法について相談を受けることがあります。 そこで今回はいびきや口呼吸の原因についてお話させていただきます。
人は鼻から空気を吸い込んで肺に送り生命維持に必要な酸素を体に取り入れています。この経路に狭窄が生ずると鼻からのみで十分な空気を取り込むことができず、口で息をする状態になるわけです。
大人の場合口呼吸の原因は副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などの鼻疾患がほとんどですが、年少児の場合は鼻疾患に加え咽頭扁桃肥大(アデノイド増殖症と呼ばれます)や口蓋扁桃肥大(扁桃肥大と呼ばれます)が原因になっていることが多く見られます。
子供さんが検診で扁桃肥大やアデノイド増殖症と診断され悩まれる方も少なくありません。
咽頭扁桃(アデノイド)は鼻の奥、口蓋扁桃はのどの両側にあるリンパ組織の集まりで、感染防御や免疫に関係する大切な組織です。 これらの扁桃組織は幼小児期では肥大しているのが普通で口呼吸やいびきなどの症状がなければ放置しても全く問題はありません。 ふつう咽頭扁桃は8歳前後で、口蓋扁桃は12歳前後で縮小しますので、大多数の子供さんは症状が改善してゆきます。
しかし少数ではありますが成長しても口蓋扁桃や咽頭扁桃が大きなままの子供さんもおられ、常に口が開いていたり扁桃炎、滲出性中耳炎を繰り返したりする場合があります。 このような子供さんに対しては扁桃摘出術やアデノイド切除術といった外科的手術を勧めております。
口蓋扁桃と咽頭扁桃は同時に摘出することができ、約1週間の入院が必要です。 私は千例以上の扁桃摘出術、アデノイド切除術を執刀してきましたが、手術に関するトラブルは経験した事がありません。 また手術を受けた子供さんのご両親からは手術後いびきが消え元気になったとの経過を聞かせていただくことがほとんどで、術後体調を崩されたケースは経験しておりません(扁桃腺を取っても風邪を引けば熱が出る事はあります)。

 子供さんの扁桃肥大、いびき、口呼吸に関して悩んでおられる親御さんはたくさんおられると思います。 このような症状の原因は一人一人異なっており、対処法も様々です。 迷われた場合は専門家(耳鼻咽喉科医)の診察を受けて適切な治療法を選択していただきたいと思います。