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院長通信

2016年3月

子供の鼻汁

 3月を迎えましたが依然として気温の低い日が続いています。寒い季節になると多く来院されるのが鼻汁を垂らした小児患者様です。これは抵抗力、適応力が十分でない小児が寒冷の影響を最も受けやすいためです。透明な鼻汁は急性鼻炎やアレルギー性鼻炎によるものと考えられ、黄色や緑色の鼻汁は副鼻腔炎によるものと考えられます。

 透明な鼻汁は一過性の症状として自然に消失する場合も多いのですが、鼻汁の量が多い場合は咳、不眠や食欲低下などの原因となる場合もあり治療が必要となります。また細菌感染を併発して副鼻腔炎に移行することもしばしば見られます。

 副鼻腔炎を放置すると急性中耳炎、滲出性中耳炎、気管支炎、肺炎などが続発する事も稀ではありませんので、色のついた鼻汁を認めた場合は早急に適切な治療を行うことが必要です。乳幼児の鼻汁はなかなか止まりにくく長期間の通院が必要となる場合も少なくありませんが、根気よく治療を受けさせていただきたいと存じます。

 副鼻腔炎が認められた場合、治療の基本は鼻汁の除去と抗生剤の内服となります。当院ではできるだけ鼻腔内をきれいに保つために生理食塩水で鼻の中を洗浄し、鼻の奥まできれいに掃除することを心がけています。この治療は子供さんたちにとってはかなり苦痛を伴う治療ですが、一度この治療を受けて鼻汁が消えて鼻が通る快感を知った子供さんたちは、また鼻汁が出たり鼻がつまったりした時は自分で治療を受けたいと意思表示できるようになります。2〜3歳の子供さんが自分で体の不調(鼻づまり)を訴え治療を 希望する姿には感動を覚えますが、小さい時からこのような行動を身に着けることは子供たちの将来にとって重要なことだと考えています。

 抗生剤の投与については様々な考え方があります。院長の考え方は副鼻腔炎が重症と判断される場合はセフェム系やペニシリン系の抗生剤を約1週間服用していただき、その後マクロライド系の抗生剤を症状がある程度改善するまで服用するというもので、症状が軽い場合はマクロライド系抗生剤で治療を始める場合もあります。色のついた鼻汁が止まらない場合はマクロライド系抗生剤を比較的長期間(約2か月)服用していただく場合もあります。鼻汁が透明になったら抗生剤は中止して消炎酵素剤や去痰剤を服用していただき抗生剤の投与量をなるべく少なくするように気を付けております。

 治療を受けられている時に注意していただきたいのは治療を止めるタイミングです。「鼻汁が止まったので治療を止めました」というお話をよく耳にするのですが、中途半端に治療を中止し、直ぐに症状を再発させる患者様をしばしばお見受けします。病気を完全に治し、耐性菌の出現を防ぐためにも「治りましたので治療を終了します」と申し上げるまで指示された通りに治療を受けていただくようお願いいたします。