兵庫県西宮市甲子園口 耳鼻咽喉科 レーザー手術 甲状腺腫瘍 花粉症 アレルギー

院長通信

2016年6月

医者にできる事

 今回は病気を治すという行為について日ごろ私が考えていることを述べさせていただきたいと思います。

 病気とは人の心や体に不調または不都合が生じた状態のことをいいますが、病の気と表現されるように「疾患が生ずるような気配」も含めた言葉だと解釈できます。つまり患者様の気持ちが病気のなかでかなりの比率を占めていると考えられるのです。
病気の定義はいろいろで、患者様の検査データの異常(発熱、正常範囲を逸脱した血液データ、画像検査上の異常等)つまり他覚的所見をもって病気と判断する見方もあれば、患者様の自覚症状(体のだるさ、痛み等)をもって病気とする見方もあります。
この他覚的所見と自覚的所見が合致すれば医者と患者様の間に病気に対する共通の理解が形成され治療を円滑に進めることができるのですが、この二つが合致しない場合が問題になります。
つまり医師が検査データから患者様が病気であると判断しても患者様が体に不調がないので病気ではないと判断される場合や、その逆に医師が検査データから患者様に病的な状態は存在しないと判断しても患者様が体の不調から自分が病気だと判断される場合がそれにあたります。
具体例としては大きな鼻茸が鼻腔を閉鎖していても鼻詰まりを自覚されない患者様や、喉には異常が認められないのに腫瘍ができていると思い込まれる患者様などが上げられます。

 私は病気を治すのは患者様であり決して医者ではないという考えに基づいて日常の診療を行っております。すなわち、私の役割は患者様により良い体調で日常生活を送っていただくための助言者であると考えております。
そこで当院を受診された患者様には、必要と思われる検査を行ってその結果を患者様にご説明し、できるだけ患者様と同じ認識をもって患者様の病および病の気を取り除こうと心がけております。
当院では幼い患者様に対して最小限の介助で治療を行わせていただいておりますが、これも幼い患者様に「自分で病気を治す」という気持ちを持っていただきたいからですので御理解をたまわりたいと存じます。
また、前述いたしました他覚的所見と自覚的所見が合致しない患者様の場合は、より時間をかけて詳しく説明を行い患者様の理解を得るよう努力しております。

 私にできる事は限られたことであり決して患者様の悩み全てを解決することもできませんがこれからも精一杯努力してまいりますのでよろしくお願いいたします。