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院長通信

2017年3月

風邪について

 最近では少し下火になったとはいえインフルエンザはまだ流行を続けております。
 当院でも日に一人か二人はインフルエンザと診断される患者さんがおられます。 いましばらくはインフルエンザに注意する必要がありそうです。

 発熱やのどの痛みが出現すると多くの方は「風邪」ひいたと表現されます。 普段私たちが「風邪」と呼んでいる病気は発熱、咽頭痛、鼻漏、咳等の症状を呈する上気道の急性炎症の総称です。 この上気道の炎症(いわゆる風邪)を引き起こす原因は大きく二つありウイルス感染と細菌感染です(医師の中にはウイルスが原因の疾患のみを風邪と考えている人もおります)。

 風邪を引き起こす代表的なウイルスとしてはインフルエンザウイルス、アデノウイルス、RSウイルス等があり、代表的な細菌としては溶血性連鎖球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌(昔インフルエンザの原因と誤認され名前を付けられた細菌)等があります。

 このように「風邪」は症状を引き起こす原因が異なりますので、同じような症状でも原因によって治療法が異なります。 インフルエンザ、ヘルペス、水痘等のウイルスに対しては、発症直後に使用すればウイルスの増殖を抑えられる抗ウイルス薬が販売されています。 しかしその他の大多数のウイルスに対しては有効な治療薬はまだ開発されておらず対症療法が主となります。 ウイルス感染による「風邪」には抗生剤は無効ですが、細菌感染による「風邪」に対しては抗生物質が有効です。

 症状のみからウイルス感染か細菌感染かを見分けることは容易ではありませんが、血液検査を行って白血球数、白血球分画、CRP値を測定し、ウイルス測定キットを使用してウイルス抗原の有無を調べる事によりかなり正確にこの両者を見分けることができるようになってきました。 検査機器の発達により数分でこれらの検査結果を得ることができるようになりましたので当院では積極的に血液検査、ウイルス検査を行って「風邪」の原因を診断し、より有効な治療法を選択するよう努めております。

追伸
去る2月25日に当院先代院長福武博重が95歳で天寿を全ういたしました。
これまで故人に賜りました皆様のご厚情に深く御礼申し上げます。