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院長通信

2017年6月

耳鼻科疾患と認知症

 最近よく取り上げられている「認知症」という病気があります。人間年を取れば誰でも物忘れがひどくなったり新しい知識を身につけにくくなったりするものですが、これが顕著に表れるものが認知症です。 医学的には脳の一部に変化が起こりそれによって引き起こされる疾患である事がわかってきました。 現在では認知症の研究もかなり進歩し、認知症の原因となる一部の疾患については薬によって症状の進行を遅らせることが出来るようになってきました。 認知症を治す方法は今のところ発見されていませんので出来るだけ早期の段階で認知症を発見し、適切な治療を行って症状の進行を遅らせることがその後の人生を左右する事になります。 鼻咽喉科領域の症状で認知症と関連の深い症状は「におい」や「きこえ」に関するものです。

 においが判りにくくなる事を「嗅覚障害」と言います。 嗅覚障害を引き起こす原因としては「副鼻腔炎」、「頭部外傷」、「糖尿病」などがあげられます。 認知症の患者さんにもかなりの頻度で嗅覚障害が出現する事が知られており、認知症の発症前から嗅覚障害があったという例も稀ではありません。 「何かのにおいは感じるが何のにおいか判らない」、「変なにおいを感じる」といった症状がある場合は認知症の可能性も考えておく必要があります。

 きこえが判りにくくなることは「聴覚障害」と言います。 聴覚障害の最大の原因は加齢、つまり年を取る事です。 しかし「聞き間違える事が多い」、「聞き返すことが多い」といった症状がある場合はやはり認知症を考慮にいれる必要があります。

 最初に述べました様に認知症の一部は早期に発見し、治療を開始する事で症状の進行を遅らせる事が出来ます。 そこで当院では今月から「簡易認知機能スクリーニング検査」を採用する事といたしました。 この検査は広島県西部認知症医療センターの井門ゆかり先生が開発されたISIS(イシス)と呼ばれる検査で、数ある認知機能検査の中で最も簡単な検査です。看護師が問診形式で行いますが、検査にかかる時間は約3分です。

 簡易認知機能スクリーニング検査はこれを希望された患者様に対しお申し出があった時点て行わせていただく予定ですが、忙しい場合は日時を改めさせていただく場合もあります。この検査に費用はかかりません。

 この検査で認知症の疑いがあると判定された場合、患者様の希望があれば認知症専門医を紹介させていただくこととなります。 早期発見早期治療でより快適な日常生活を永く送っていただく一助になればというのがこの検査を採用した理由です。

<参考>
井門式簡易認知機能スクリーニング検査(ICIS)の方法・判定(ホームページ)
井門式簡易認知機能スクリーニング検査用紙(PDFダウンロード)