兵庫県西宮市甲子園口 耳鼻咽喉科 レーザー手術 甲状腺腫瘍 花粉症 アレルギー

院長通信

2018年5月

子供の鼻汁

 ヒノキ花粉の飛散もようやく終了し、花粉症でお悩みの方が一息つける時期となりました、しかし当院では子供さんたちの鼻汁や鼻詰まりでお悩みのご両親からの診察依頼がまだまだ続いています。 ひとくちに子供の鼻汁と申しましても年齢、環境、体質などに左右されますので一人一人に合った対策を施さなければなりません。

 乳幼児、特に1歳前後の子供さんの鼻汁はウイルス感染などの風邪症候群に伴う鼻粘膜の炎症によって引き起こされることが多く、透明な鼻汁がズルズルと出続けます。 そして寒暖差の大きな時期に悪化するケースが多いようです。 またアトピー体質を持っている乳児や呼吸器感染症を繰り返す乳児の場合は特に治りにくい事が多いようです。 このような乳幼児に対してはできるだけ生活環境を安定させること、根気よく鼻汁を除去してあげることなどが必要です。

 2歳以降になるとアレルギーによると思われる鼻汁を訴える子どもさんが増えてきます。 アレルギー性鼻炎では透明な鼻汁がだらだらと出続けます。 体質的な問題が基礎にあるのでいくら治療しても良くならない場合が多く、抗アレルギー剤の長期服用が必要になる事もしばしばです。
一方黄色い鼻汁が見られる場合もありますが、色のついた鼻汁は副鼻腔炎に罹っているために生ずるもので、細菌感染の合併を意味します。 放置すると気管支炎や肺炎を併発する事もありますので抗生剤の服用などによる適切な治療が必要です。
アレルギー性鼻炎は対症療法が主となり、病気を治すというより病気をコントロールするという形になりますが、副鼻腔炎はきっちりと治療を行えばほとんどの場合治癒させることができます。 副鼻腔炎に対しては必要に応じて抗生剤を投与させていただいております。 時々「鼻汁が止まったので薬を止めました」というお話を耳にするのですが、中途半端な抗生物質の服用は耐性菌という抗生物質に抵抗力を持った細菌を作る原因となります。 処方された抗生物質は指示された通り飲ませていただき、完全に膿性鼻漏が止まるまで経過を見させていただきたいと思います。 抗生剤はその種類によって服用期間に違いがあります。 当院では必要最小限の抗生剤をお出ししておりますので、出されたお薬は指示されたとおりに全量服用していただき、薬が切れる時点で再度受診していただきたいと存じます。

 また薬だけに頼るのではなく頻回に鼻内を清掃し、鼻汁により鼻呼吸が出来ない時間を出来るだけ少なくすることも重要です。 鼻汁を放置すると急性中耳炎や滲出性中耳炎が高率に起こってきます。 根気よく鼻内清掃を続ける事、適切な薬を適切な期間服用させる事が治療のポイントです。