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院長通信

2018年8月

耳垢(みみあか)について

 子供さんが保育所や学校で耳鼻咽喉科の検診を受け「耳垢栓塞(じこうせんそく)」との指摘をうけた経験をお持ちのご両親も多いと思います。 今回はこの耳垢(みみあか)について院長の私見を述べさせていただきます。
耳垢の正体は外耳道にある耳垢腺や皮脂腺からの分泌物、外耳道の皮膚が剥がれたもの、空気中のちりやほこりなどが混ざったものです。 耳垢腺と皮脂腺は外耳道の外側3分の1の皮膚にあるので、外耳道の奥の方には耳垢はほとんどありませんが、自分で耳掃除をして耳垢を外耳道の奥に押し込んでしまう例が多々見られます。 この耳垢には外から侵入する虫を防いだり、ほこりなどのゴミを吸着するといった利点もあるのであまり神経質に掃除をするのも考え物です。

 この耳垢には乾性耳垢と呼ばれるカサカサのタイプと湿性耳垢と呼ばれる湿潤な飴のようなタイプがありますが、これは遺伝が関係しておりご両親が乾燥タイプなら子供さんも乾燥タイプとなります。

 耳のかゆみの原因が耳垢だと考えて頻回に耳掃除をされる方がしばしば見受けられますが、耳垢がかゆみの原因となることはほとんどありません。 耳のかゆみは外耳道で何らかのアレルギー反応が起こっている場合に生じますが、多くの場合触りすぎによる皮膚炎が原因です。

 少量の耳垢は放置しても全く差し支えありませんが耳垢が多量に溜まると難聴や耳閉塞感が生じてしまいますので定期的な清掃は必要です。

 院長が身体検査で耳垢栓塞と診断する基準は鼓膜が観察できるか否かで、鼓膜の状態が観察できないような量の耳垢は除去した方がよいという考えからそのように診断しています。

 耳垢の産生量には個人差が大きく数ヶ月に一度の清掃が必要な方もいれば数年たっても全く溜まらない方もおられます。 家庭で耳掃除をする場合は耳の入口付近を細い綿棒か耳かきでそっと撫でるくらいにとどめておいた方がよいと思います。 無理な力を入れると出血や炎症が生ずる場合がありますので注意が必要です。

 大多数の方は年に1回の掃除で十分外耳道の清潔を保つことができますので耳垢がたまったかなと思った場合は専門医の診察を受けることをお勧めします。