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院長通信

2019年7月

夏かぜ対策

 最近手足口病にかかった子供さんがかなり受診されるようになりました。 耳鼻咽喉科領域では手足口病、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱(プール熱)の三つが夏に流行するウイルス感染症(いわゆる夏風邪)の代表格で、毎年7月から8月にかけて子供たちを中心に流行します。 しかし、今年は例年より早期より手足口病の流行が始まり、大人にも感染者が出ております。 そこで今回はこれから流行しそうな夏かぜの特徴と対策について述べさせていただきます。 「かぜ」という言葉は一般的にウイルス感染による急性炎症に対し用いられる言葉ですが、夏かぜの原因もほとんどがウイルスです。 症状は発熱、咽頭痛、腹痛などで、冬場に流行るインフルエンザなどと比べ接触感染、経口感染が多く、子供に多く見られるといった特徴があります。 インフルエンザと異なり夏かぜを引き起こすウイルスに対し効果のある薬はありませんので対症療法で症状の改善を待つことになります。

 手足口病は高熱にともなって手のひら、足、口内に水疱ができる病気で3歳前後の子供さんに多く見られます。 熱が下がるまで、水疱がかさぶたのように乾燥するまでは感染力が強いので他人との接触を避ける必要があります。 安静を保てば通常は1週程度で症状が改善しますが、発症後2〜3日たっても高熱が持続し頭痛、吐き気を訴える場合は髄膜炎や脳炎を合併している可能性がありますので注意を払う必要があります。

 ヘルパンギーナは2〜3日の高熱、口内の小さな水疱出現を特徴とする病気で1歳前後の乳幼児に多くみられます。 この病気も安静を保てば1週程度で症状が改善しますが、咽頭痛が比較的強く脱水症状を起こしやすいので水分補給に留意する必要があります。

 咽頭結膜熱(プール熱)は突然の高熱、扁桃腺炎を思わせる強い咽頭痛、結膜炎による目の痛み、痒み等を特徴とする病気です。 5歳以下の子供に多く見られますが、大人にもしばしば感染します。プール熱と呼ばれますが必ずしもプールで移るわけではありません。 接触感染する傾向があり、タオルの共用等が感染の原因になることがありますので注意が必要です。

 これらの夏風邪を引き起こすウイルスは患者の排泄物に排出されますのでおむつ交換の際は感染防止に十分注意する必要があります。 また患者の唾液を介した感染を防ぐため使い捨てのペーパータオル等の使用をお勧めします。 予防としてはまず手洗いの励行です。うがいももちろん有効です。夏かぜの診断には血液検査で白血球数、白血球分画を調べることも有用です。 夏かぜに細菌感染を合併することも少なくありませんが、このような場合は炎症反応が上昇します。 細菌感染は抗菌剤で治療することができますので、高熱が持続する場合は一度血液検査を受けられることをお勧めいたします。

 7月16日の火曜日は5月2日の振替休日として休診させていただきますのでご理解ください。