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院長通信

2019年8月

扁桃摘出術、アデノイド切除術の適応

 最近子供さんのいびきや口呼吸を気にされるお母さま方から扁桃摘出術、アデノイド切除術を受けるべきか否かとの質問をしばしば受けるようになりました。 そこで今回は扁桃摘出術、アデノイド切除術の適応についてお話させていただきます。
年少児のいびきや口呼吸の原因としてはアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などの鼻疾患に加え口蓋扁桃肥大(扁桃肥大と呼ばれます)や咽頭扁桃肥大(アデノイド増殖症と呼ばれます)などが上げられます。 口蓋扁桃はのどの両側、咽頭扁桃(アデノイド)は鼻の奥にあるリンパ組織の集まりで、感染防御や免疫に関係する大切な組織です。 これらの扁桃組織は幼小児期では肥大しているのが普通で口呼吸やいびきなどの症状がなければ放置しても全く問題はありません。 しかし常に鼻が詰まって口呼吸をしている場合や扁桃炎、滲出性中耳炎を繰り返したりする場合で口蓋扁桃肥大や咽頭扁桃肥大が原因と判断された例では扁桃摘出術やアデノイド切除術といった外科的手術が必要となります。 口蓋扁桃は口を覗けば肥大の程度を診断することができますし、咽頭扁桃は内視鏡を用いて観察を行うことにより肥大の程度を確実に診断することができます。 前述しましたようにこれらの扁桃組織は生体防御機能に関係しており、特に乳幼児期には大きな役割を担っていると考えられています。 したがって外科的手術を行うのは4歳以上が望ましいと考えられております。口蓋扁桃と咽頭扁桃は同時に摘出することができ、約1週間の入院が必要です。 私は千例以上の扁桃摘出術、アデノイド切除術を執刀してきましたが、手術に関するトラブルは経験したことがありませんし術後体調を崩されたケースも経験したことはありません(扁桃腺を取っても風邪を引けば熱が出る事はあります)。

 子供さんのいびき、口呼吸に関して悩んでおられる親御さんはたくさんおられると思います。 このような症状の原因は一人一人異なっており、対処法も様々です。 咽頭扁桃は8歳前後で、口蓋扁桃は12歳前後で自然に縮小してゆきますので、それまで保存的に経過を観察する場合も多いのです。

 扁桃摘出術、アデノイド切除術の適応については医師の間でも考え方の相違があり、小児科医は外科的治療に消極的で耳鼻咽喉科医は積極的という傾向があるようです。 治療方針で迷われた場合は複数の医師の診察を受けて説明を聞き納得のゆく治療法を選択していただきたいと思います。