兵庫県西宮市甲子園口 耳鼻咽喉科 レーザー手術 甲状腺腫瘍 花粉症 アレルギー

院長通信

2021年4月

耳閉感

 皆様は「耳閉感」という言葉をお聞きになったことがありますか? 「耳閉感」とは文字通り耳が圧迫されて聴こえにくくなった感覚を言います。 日常生活の中では高い山に登り降りする際や、搭乗した飛行機が上昇したり下降したりする際に生ずる耳の違和感として皆様も経験されたことがあると思います。 日常経験する「耳閉感」は鼓膜の外側と内側の気圧差によって生ずるもので、多くの場合短時間で改善します。 「耳閉感」が一日以上持続する場合は重大な病気のサインである場合がありますので注意が必要です。

 「耳閉感」を生ずる耳鼻科疾患としては「滲出性中耳炎」や「耳管狭窄症」など鼓膜の内外の気圧差が原因となって伝音性難聴をきたす病気と、「突発性難聴」や「急性低温障害型感音性難聴」など内耳障害によって神経性難聴をきたす病気とがあります。

 伝音性難聴をきたす病気は治療開始が少々遅れても大きな問題は起きないのですが、神経性難聴をきたす病気はできるだけ早期に治療を開始する必要があります。 それは「突発性難聴」や「急性低温障害型感音性難聴」では症状が発生してから治療を開始するまでの時間によって治り方が大きく異なるからです。 「突発性難聴」や「急性低温障害型感音性難聴」などの急に起こった神経性難聴は発症数日以内に治療を開始した場合ほとんどの症例で症状が改善するのですが、発症後2週間以上経過するとどのような治療を行ってもほとんど症状を改善させることができないからです。

 「突発性難聴」や「急性低温障害型感音性難聴」の発症にはストレスが影響するともいわれており、コロナ禍の影響か最近「耳閉感」を訴えて受診され、これらの疾患と診断される方が増加しております。 前述しましたように、発症直後に受診された患者様は90%以上の方が良好な経過をたどります。 しかし、そのうち「耳閉感」が消失するであろうと放置されて治療開始が遅れた方はほぼ100%症状の改善が期待できないのです。

 耳が詰まっておかしいなと感じられた場合はできるだけ早く耳鼻咽喉科を受診されて急性の神経性難聴に罹患していないかを確認していただきたいと思います。